居場所 うごきかた エスノドラマ 環境音楽 さばきかた じゃがいも 断章 団地 寺山 テレビ 東京23区 土地の記憶 客者評判記 拠点 だれかのみたゆめ つなぎかたの研究 つくりかたの共有 つくりかたの思想史 ほか
うごきかた研究室
私たちが生活している場所は東京という大都市であり、東京で暮らす限りそこから逃れられることはありません。しかし、都市は予めデザインされていて、私たちが選び取る前に既に存在しています。その都市の様相は計算されたものばかりではなく、継ぎ接ぎ的な場所もあり、様々です。必然的なことから、偶発的なことまで、都市の中で移動する私たちの身体を“動かされる身体”と捉え、その身体を記録します。移動する意思と、デザインされた都市の中にある受け身の身体とのずれを切り口に、普段の私たちの身体を観察し、2020年に向けてより速いスピードで変わっていくであろう東京を楽譜に見立て、ここでは“動かされる身体”からダンスを考えます。
エスノドラマ研究室
エスノグラフィー(民族誌)を演じること/観ることの可能性を探求する研究室。エスノグラフィーとは、フィールド調査に基づいて「他者」の日常や文化、生き方を記述したもののこと。たとえば、首狩りの風習をもつイロンゴット、妖術とともに生きるドゥルマの人々、男でも女でもない「第三の性」ヒジュラたち。
自分とは遠い存在にみえる「他者」を理解するツールとして、エスノドラマは一体どれくらい有効なのでしょうか。この問いを出発点として、現在、ワークショップという名の実験を実施中。2014年度のテーマは「ポリアモリー(誠実な複数愛)」。
環境音楽研究室
“環境音楽”ときいてなにを想像しますか? カフェで流れているようなBGM、イーノに代表されるアンビエントミュージック、また環境音を素材とした音楽…。人によって認識もさまざまな環境音楽ですが、そんな得体の知れないこの”環境”と”音楽”について、私たちなりに読み解き、またあらたに構築を試みる研究室です。
今回はその第一弾として、常にどこかのトイレという”環境”におかれた「音姫」に焦点をあててみます。日本人ならではの恥じらいの精神からうまれたこの「音姫」ですが、その歴史は江戸時代にまでさかのぼります。はたして現代を生きる我々にふさわしい音姫は、現状のような流水音なのでしょうか? マスキングという方法以外の可能性は? 新しい「音姫」について、思案と試作を繰り返しています。
寺山修司研究室
寺山修司の研究。寺山は「すぐれた俳優は自分のことばを探し出すための出会いが、ドラマツルギーというものだということを知っている」といいます。この文脈における彼にとってのドラマツルギーとは何だったのかを探るのが目下の研究課題。そうして取り出したものを、アートプロジェクトなどを行う際の様々な局面へと応用できるようにすることを目指しています。
テレビ研究室
日本においては、1953年に始まったテレビジョン放送。
黎明期のテレビ番組には、制作者自身がテレビというメディアの特性を自覚的に捉え、ユニークな方法論のもとで制作されたものが多々あります。しかしそれらのテレビ番組の多くは、テレビの持つ一過性や権利上の問題などから、現在では見る機会すら限定された状況にあります。
テレビ研究室は、過去のテレビ番組の制作方法や表現を、その方法論と照らしあわせて検証すること、そしてそこで開発された方法論を他のフィールド(例えば、演劇)に応用してみること、を試みます。
土地の記憶研究室
ある土地で、そこに昔から住んでいたわけでもない何者かが、その地に住まう人々を巻き込み作用し合いながらも何かを起こす時、その土地の記憶や温度を読み解く事が必要であると感じています。土地の記憶研究室は、土地に刻まれた歴史の断片、その土地に「住む」人々に触れながら、「東京」という舞台の目に見えない記憶を読み解き、何かしらの形で具現化し、繋ごうと試みる研究室です。
2014年からは東京23区で一番高い山を持つ江戸城外堀の虎之御門(東京都港区 愛宕・虎ノ門エリア)にて活動。国際戦略総合特区となり大きく変化する地域に触れ、東京というまちを再構します。
客者評判記読書会
現在行なわれている表現活動において、作品と観客の間には一方通行のみる・みられるの関係に留まらない、様々な関係が生み出されています。そんな観客の“お客さん”という言葉のもつイメージには収まらない姿を記す、有効な言葉を研究しています。
本年度は、江戸時代の作家、式亭三馬が歌舞伎の観客にスポットをあて、評判を記した滑稽本「三芝居客者評判記」の読書会を開催し、現代語訳を作成中。いま私たちがこの本を読み、議論することは、近年の参加型イベントやアートプロジェクトによく見られるような、受け身で一方的にもてなされるだけの“お客さん”に留まらない観客のあり方を記述する方法をみつける足がかりになると考えています。
つなぎかたの研究
異なる時間や場所に定位するものごとをつなぐ技術、即ち〈つなぎかた〉。
様々な分野で独自の〈つなぎかた〉を発揮しているひとびとを講師に招き、かれらが普段活躍するフィールド(仕事場)を会場にして、研究会を開催します。研究会は、〈つなぎかた〉に関するレクチャーだけではなく、事前に講師から与えられた課題(図書や事例)をもとに、参加者と講師が互いに影響し合い、知を交換し合うものとなります。
研究会終了後、レクチャーの抄録、研究会参加者の報告などを編集した[紀要]を発行します。
つくりかたの思想史
芸術の諸ジャンルや文化活動において、制作の背景にあってきた思想:発想(つくりかたの思想)の研究を行い、その変遷をまとめ、大きな見取り図として示すことを試みています。
インスタントに/インスパイアする、情報が氾濫した現代に必要な「教養」の形を提案します。2014年度は足掛かりとして、アーティストにとっても、オーディエンスにとっても有用な「つくりかたの思想」に触れられる本のリストを制作しています。
その他研究室 活動中